星を見たがる女子と石焼ビビンパに、僕は火傷した。
熱々と冷たい石焼ビビンパ。なぜこうも「温度」が違ったのか
思い出にまつわる愛しき料理。そんな「めめし飯」があなたにもありませんか? クックパッド芸人藤井21が、石焼ビビンパにまつわるほろ苦い思い出を明かします。
片思いの子と食べた「石焼きビビンパ」
皆さんは生涯で「石焼ビビンパ」を何度食べた事があるだろうか。専用の石の器で出てくるこの料理は家庭ではまず食べることがないと思う。
自慢じゃないが僕もこれまでの人生で食べたのはたったの二度だ。
熱々の石焼ビビンパと冷たい石焼ビビンパ。同じ石焼ビビンパなのに対照的な二つを食べたのは僕が大学1年の時だった。
初めて食べたのは当時好きだった女の子と大学の帰りに一緒にご飯を食べた時だった。初めての石焼ビビンパの熱々の器で僕は指を火傷した。
彼女と出会ったのは大学に入ったばかりの時。
食堂で大人のこぶしほどもある大きなおにぎりを頬張っていた小柄な彼女は、柔らかそうなボブの髪と、笑うとえくぼの出来るほっぺが印象的だった。
ドラマチックでもなんでもないけど、なぜか僕はその瞬間に彼女を好きになっていた。
彼女が同じ学部だという情報を友達づてから得た僕は、なんとか彼女と仲良くなろうと立ち回った。同じ授業では隙あらば彼女に話しかけ、近くの席を確保する事に尽力した。授業の内容は覚えなかったが彼女がいつも座る席は覚えた。
帰り道が彼女と同じ方向であるという事を聞いた時は神に感謝した。こうした時だけ人は信心深くなるものだ。
彼女と一緒に帰りたかった。
僕は自分の授業が早く終わった時も、友達と話していて知らない間に時間が経っていた、という体で待っていた。《今帰り? ちょうど帰ろうと思ってたから一緒に帰ろうか》作戦を使ったのである。なんとも青い作戦だ。